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オーストラリアでの子供の親権をめぐる問題

オーストラリアはまともだ。

領事部関係情報

子供の親権をめぐる問題

(未成年の子供の旅券申請)

2012年5月18日
在オーストラリア日本国大使館

近年、国際結婚のカップルが増えており、当館領事窓口にも国際結婚の届出や日豪間のカップルの間に誕生した子供の出生届のため来館される方がたくさんいらっしゃいます。
その一方で、結婚生活で困難に直面したそれぞれ国籍の異なる父または母のいずれかが、豪州の法律を顧みることなくもう一方の親の同意なしに子供を連れ去り、問題になるケースも発生しています。

1.親による子の連れ去りが犯罪となる場合

豪の「1975年家族法(the Family Law Act 1975)」では、両親の離婚後も18歳未満の子供の親権は基本的に父母双方が共同で保有します。裁判所から子供の親権やいずれの親と暮らすのか、子供が 離婚した父母それぞれと過ごす時間の配分或いは子供の父母との連絡等子の養育に関する裁判所命令(Parenting Order)が出ている場合、或いは、裁判所において審理中の場合は、日本人親が豪州人親の書面による同意や裁判所の許可なく子供を国外へ連れ去る行為 は、例え実の親であっても犯罪を構成し、最大3年までの懲役刑となる可能性があります。豪州では親による子の連れ去りを日常会話などでは親による子の誘拐 (parental child abduction)と呼ぶこともありますが、法律上は誘拐罪とは呼ばず「1975年家族法」セクション65Y或いは65Zに対する犯罪と呼ばれていま す。
なお、裁判所命令もなく、また、親権が裁判所において審理中でない場合においては、日本人親が他方の親の了解や同意がなく子を一方的に日本に連れ去る行為 は、直ちに犯罪を構成することにはなりませんが、共同親権が基本の豪州においては、裁判所によって他方の親の親権が取り消されていない限り、監護権を侵害 する行為と見なされ、日本人親や子が豪州に帰国した際などに、他方の親から訴訟を提起され裁判において不利になることが予想されます。
国際結婚した後に生まれた子供を日本に連れて帰る際には、こうした豪州の事情にも注意する必要がありますので、具体的な事案については家族法専門の弁護士に相談されることをお勧めします。

<参考>
国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約ハーグ条約)について
豪州はハーグ条約の締約国です。詳しくは豪連邦政府の以下のウェブサイトをご覧ください。
http://www.ag.gov.au/FamiliesAndMarriage/Families/InternationalFamilyLaw/

2.未成年の子供の旅券申請

未成年の子供に係る日本国旅券の発給申請については、親権者である両親のいずれか一方の申請書裏面の「法定代理人署名」欄への署名により手続きを行ってお ります。但し、旅券申請に際し、もう一方の親権者から子供の旅券申請に同意しない旨の意思表示が予め在外公館になされている時は、旅券の発給は、通常、当 該申請が両親の合意によるものとなったことが確認されてからとなります。その確認のため、在外公館では、通常、子供の旅券申請について予め不同意の意思表 示を行っていた側の親権者に対し、同人が作成(自署)した「旅券申請同意書」の提出をお願いしております。
また、共同親権が基本である豪州において、父母双方が親権者である場合、一方の親権者が18歳未満の子を他方の親権者の同意や裁判所の許可を得ずに国外に 連れ出す行為が刑罰の対象になる可能性については上記1.に述べたとおりです。実際に、居住していた国への再入国に際し、子を誘拐した犯罪被疑者として逮 捕されたり、国際刑事警察機構ICPO)を通じて国際手配される事案も生じております。
当館では在留邦人の皆様がこのような不利益を被ることを予防する観点から、18歳未満の子の旅券申請の際には、他方の親権者の不同意の意思表示がない場合 であっても、旅券申請に関する親権者双方の同意の有無を口頭にて確認させて頂いておりますので、予めご承知おきください。

http://www.au.emb-japan.go.jp/jp/consulate/child_passport.html