面会交流支援事業の対象者に関する質問主意書(2017/2/10)と答弁(2017/2/11)

平成二十九年二月十日提出
質問第六三号
面会交流支援事業の対象者に関する質問主意書

提出者  初鹿明博

面会交流支援事業の対象者に関する質問主意書

 厚生労働省が実施する「母子家庭等就業・自立支援センター事業」のひとつの事業に「面会交流支援事業」があり、現在、五自治体が事業を実施しています。
 この事業は離婚後、面会交流の取り決めをしていながらも、相手に対する感情や葛藤が理由で面会交流を実施できない父母に対する支援により、面会交流の円滑な実施を図ることを目的としています。
 民法の改正により、離婚にあたって面会交流の取り決めを行うことが求められるようになり、この事業の重要性は益々高まるものと考えます。
 しかしながら、実施状況をみると、各自治体ともに相談件数の一割程度しか実際の支援に結びついていないのが現状です。
 その理由として、面会交流の取り決めがされていない為に事業の対象外であったケースが多いと理解していますが、同居親もしくは別居親どちらかが児童扶養手当を受給しているか、同等の所得水準かという所得制限があることも影響していると考えます。
 そこで、以下質問します。

一 高葛藤のケースでも、第三者が介在することにより、面会交流を安定的に行うことが可能となります。この事業が、離婚後も父母と継続的な関係を持ち、愛情を感じられることが子どもの福祉に資するという観点で実施されるものであるなら、親の所得により支援対象を限るべきではないと考えますが、政府の見解を伺います。
二 一定所得以上の者には、一部自己負担を求めて支援を受けられるようにすることについて、政府の見解を伺います。
三 東京都は、厚生労働省の、同居親もしくは別居親どちらかが児童扶養手当を受給しているか、同等の所得水準という基準に加えて、もう一方の親が児童育成手当を受給しているか、同等の所得水準という独自の制限を加えて対象者を絞り込んでいます。
 このように、対象者を厚生労働省の基準よりも狭めてしまうことは不適切だと考えますが、政府の見解を伺います。

 右質問する。

http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a193063.htm




平成二十九年二月二十一日受領
答弁第六三号
  内閣衆質一九三第六三号
  平成二十九年二月二十一日
内閣総理大臣 安倍晋三
       衆議院議長 大島理森 殿
衆議院議員初鹿明博君提出面会交流支援事業の対象者に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。

衆議院議員初鹿明博君提出面会交流支援事業の対象者に関する質問に対する答弁書

一について
 お尋ねの母子家庭等就業・自立支援センター事業における面会交流支援事業(以下「面会交流支援事業」という。)による支援の対象者については、国が定める「母子家庭等就業・自立支援事業の実施について」(平成二十年七月二十二日付け雇児発第〇七二二〇〇三号厚生労働省雇用均等・児童家庭局長通知)の別紙「母子家庭等就業・自立支援事業実施要綱」(以下「実施要綱」という。)において、「同居親が児童扶養手当の支給を受けており、かつ別居親が児童扶養手当の支給を受けている者と同様の所得水準にあること。又は、同居親及び別居親とも児童扶養手当の支給を受けている者と同様の所得水準にあること。ただし、都道府県等において、上記の者に対する支援の提供に支障が生じないと認める場合は、同居親又は別居親のいずれか一方が児童扶養手当の支給を受けている者と同様の所得水準にない者であるときであっても、対象者とすることができる」等の要件を満たす者とすることを示しており、面会交流支援事業を実施する都道府県等(以下「実施都道府県等」という。)が、実施要綱を踏まえて面会交流支援事業による支援の対象者を決定していると承知している。
 面会交流支援事業による支援の対象者については、面会交流支援事業の実施に要する費用を国及び実施都道府県等が支出しており、限られた財源の中で低所得者を重点的に支援するという観点から、一定の所得要件を設けることが適切であると考えている。

二について
 実施要綱では、実施都道府県等が支援の提供に支障が生じないと認める場合は、同居親又は別居親のいずれか一方が児童扶養手当の支給を受けている者と同様の所得水準にない者であるときであっても、面会交流支援事業による支援の対象者とすることができることとしている。
 その上で、お尋ねの「一定所得以上の者には、一部自己負担を求めて支援を受けられるようにすること」については、限られた財源の中で低所得者を重点的に支援するという観点から、現時点においては考えていない。

三について
 お尋ねの「対象者を厚生労働省の基準よりも狭めてしまうこと」の意味するところが必ずしも明らかではないが、お尋ねの東京都の「もう一方の親が児童育成手当を受給しているか、同等の所得水準」という所得要件については、実施要綱において「支援の提供に支障が生じないと認める場合は、同居親又は別居親のいずれか一方が児童扶養手当の支給を受けている者と同様の所得水準にない者であるときであっても、対象者とすることができる」と定めていることを踏まえ、東京都が地域の実情に応じて設けたものであると認識しており、不適切とは考えていない。

http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b193063.htm